注意喚起:銀行員、郵便局関係職員及び警察官を装った電話詐欺

令和6年11月27日

注意喚起:銀行員、郵便局関係職員及び警察官を装った電話詐欺

●銀行員、郵便局関係職員及び警察官を装った電話詐欺が多発しています。類似した内容の電話やテキストメッセージがあった際には落ち着いて対応し、必要に応じて警察へ相談いただくなど、慎重に対処してください。
 
 最近、銀行、郵便局やクレジットカード会社或いは警察官等の公的機関の職員を装い、電話やテキストメッセージにより口座凍結や逮捕を示唆し、不安をあおって、お金を騙し取ろうとする詐欺被害の報告が複数寄せられています(下記1及び2参照)。同様の手口の詐欺は世界中で行われており、中には数万ドルの被害を受けたケースも確認されていますので、十分に注意してください(下記3参照)。
 
1 当館に報告された電話詐欺の概要
(1)事例1
ア 銀行員を名乗る者から、「米国本土において、あなた(邦人被害者)が所有するクレジットカードで武器の購入が行われた履歴がある」という電話があり、同銀行のスーパーバイザーを名乗る者に電話が転送された。同人物から「銀行の規則に従い政府機関に報告しなければならない。報告すると、あなたはブラックリストに載り、最悪の場合、犯罪者として扱われることになる。2時間以内にポリスレポートを取得し、早急に手続を行う必要がある」と言われ、電話を警察署へ転送すると告げられた。
イ 転送先の警察官を名乗る者から、以下のやり取りはリモートで行う必要があるとの説明があり、スカイプ(Skype)を利用したビデオ通話へ誘導された。ビデオ通話で警察バッジ及び証明書の画像を見せられ、氏名や旅券、IDなどの個人情報を聴取された。その後、「あなたが国際犯罪組織と繋がっており、被害者の1人がベトナムに所在することから、同国の口座に金銭を早急に振り込む必要がある」と誘導された。
(2)事例2
ア 郵便局関係職員を名乗る者から「ニューヨークのあなた(被害者)名義の住所からワシントンDCにマリファナが送られている。犯罪の容疑がかかっているため救済手続を行う必要がある」という電話があった。連邦捜査局に報告が必要であるなど誘導されたが、同人が語った郵便物の追跡番号では対象物が検索できないことなどから、以後のやり取りを留保し、家族等に相談し被害を未然に防止した。
(3)事例3
郵便局(USPS)からのお知らせを装ったテキストメッセージからクレジットカードやデビットカードなどの番号を入力させ、スキミングさせるもの。
例えば、「荷物が届いているが住所の情報に一部誤りがあり、郵便局で荷物を保管している、配達するのに少額の手数料が必要」といった内容。

2 詐欺手口の特徴
 当館に報告されている同様の詐欺事案には、以下のような特徴があります。類似する内容の電話があった場合は、詐欺を疑い、冷静に対応してください。
 
(1)銀行や郵便局或いは警察官等の公的機関の職員を名乗る者から、「米国本土において、あなた名義のクレジットカードが使用され武器の購入履歴があった」、「あなたの名義で登録のある米国本土の住所から薬物が送付された」等の電話があり、口座凍結や逮捕、刑務所へ収監される可能性があると言われる。
 ↑被害者が実在の警察署に出向くことを阻止するため、居住地から遠い場所で犯罪があったと説明します。
 
(2)X時間以内にポリスレポートを取得し、こちらに送付すれば無実だと証明できると言われる。
 ↑時間制限を設けることにより心理的な動揺を与え、正常な判断ができなくなることを狙っています。
 
(3)銀行や郵便局の職員を名乗る者から警察官を名乗る者へ転送される。
 ↑複数人で犯行に及ぶことで被害者を信用させようとしています。また、警察官を名乗る者は相手を安心させるよう同情的なアプローチをすることがあります。
 
(4)実在する警察署の電話番号をHP等で確認させた後、一度電話を切り、再度着信した際に表示された電話番号が先ほど調べた実在する警察署の電話番号と同じであることを確認させる。
 ↑実在する警察署の電話番号を装うなど巧妙な手口で本物の警察官であることを印象づけ信用させます。騙されてしまう方の多くはこの手口で相手を信用していますが、電話番号の偽表示は詐欺グループの常套手段です。
 
(5)ビデオ通話への移行を求められる。
 ↑録画をするなどと伝え、被害者に動揺を与えます。
 
(6)ビデオ通話へ移行後、警察バッジや証明書の画像を見せられる。
 ↑本物の警察官であることを印象づけ信用させます。
 
(7)あなたは容疑者であるため本件を誰にも話してはいけないと言われる。
 ↑家族や知人に相談させず孤立させ、頼れるのは(偽)警察だけだと思い込ませます。
 
(8)行動を監視するため、証拠を残すためと理由をつけ、ビデオ通話は繋げたままにするよう指示される(切るとすぐにかけ直してくる)。
 ↑途中で詐欺が疑われた場合でも、誰にも相談させないようにします。
 
(9)あなたを無実にするべく関係機関に特別に口利きをすることが出来るが、XXドルの支払いが必要と言われる。
 ↑警察等の公的機関が電話で金銭を要求することはなく、荒唐無稽な話ですが、それまでの流れや心理状態によっては信用してしまうことがあります。
 
3 対策
 上記に類似する電話やテキストメッセージがあった際には、以下を参考に対処してください。
 
(1)一旦通話を切って、必ず親族や知人に相談しましょう。詐欺グループは銀行の凍結や逮捕といった言葉を巧妙に使って被害者を焦らせ、正常な判断ができなくなるよう仕掛けてきますので、絶対に一人で抱え込まずに周りに相談し、客観的な助言をもらうようにしてください。
 
(2)仮に着信画面が実在する正規の電話番号と同一であったとしても、上記1及び2に類似する内容の話があった場合は、一度通話を切り、自ら該当の会社や公的機関に電話をかけ、事実確認を行ってください。
 
(3)警察バッジや証明書等を見せられた場合には、名前と識別番号などを控え、何らかの理由をつけて一度通話を切り、管轄の警察署へ連絡の上、控えた情報を伝えて、実在する警察官なのか確認してください。
 
(4)銀行やクレジットカード会社、公的機関が電話やテキストメッセージで金銭を求めることはありません。金銭を要求された際には、詐欺の可能性が非常に高いため、通話を切り、警察に相談してください。
 
詐欺グループは様々な方法で被害者を信用させ、お金を騙し取ろうとします。事前に詐欺だと気づいて被害を免れたケースでも、親族や知人の助言・指摘がなければ騙し取られていた可能性が高かった事案も少なくありません。また、この犯罪の傾向として、年齢を問わず幅広い層が狙われ、実際に被害に遭っているのが特徴です。詐欺を行う者は巧妙な手口で人を騙そうとし、心理的な操作を試みてきますので、電話やメッセージなどを続けるのはとても危険です。一度通話を切り、すぐに身近な人に相談することが肝要です。